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僕は、そんな春日部先生に頭を下げると、下駄箱へと向かいました。
と、先に下駄箱に向かった筈の千夜くんがカバンを肩に担いで校庭まで出て来るではありませんか。
「どうかなさいましたか?」
「いや、山村(やまむら)の奴が又、春日部の野郎にとっ捕まりそうだからな」
山村凌(やまむら りょう)先輩は、僕達より1学年上の先輩で、千夜くんが途中まで入部していた料理部の部長さんです。
素行は悪くないのですが、成績が振るわない事で春日部先生から、しばしイヤミを言われているのを僕も何度か目撃しています。
千夜くんは、山村先輩に助け船を出すつもりのようです。
「僕も又、捕まってしまいましたよ」
「鈴木は春日部のお気に入りだからな」
千夜くんと話し込んでいますと…。
「山村くん。キミは又、前回のテスト、赤点だらけだったそうじゃないか。料理部なんかにうつつを抜かしているからじゃないのかね!」
服装チェックと関係ない事で何で部活の事まで悪く言われなきゃいけないんだろう…。
春日部先生の言葉を聞いて、僕は悲しくなった。
同じ目をつけられている保は気にしてなさそうだけど、僕の顔からは笑顔が消える。
春日部先生は、僕が何も言えないと思って我が物顔で言う。
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