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「わーったよ。しょうがねーなー」
俺は鈴木に苦笑を返すと、春日部をギロリと睨み付けてやった。
途端に春日部の勢いが失速する。
「せ、千夜…。何度も言っているが、今日こそ放課後、生徒指導室に来い…」
「へいへい」
「返事は、はい!それも一回でいい!」
春日部は自分が言いたいことだけ言うとサッサと昼飯を食うことを再開した。
クラスの中が、修羅場にならなかったことに皆、どこか安心した様な雰囲気が漂う。
しかし、それも長くは続かなかった。
「おい!渡辺(わたなべ)!食べこぼしがあるぞ!早く拾わんか!」
「は、はい…済みません…」
春日部はターゲットを俺から大人しい生徒に替えただけだった。
てえか、自分はどうなんだよ、春日部。
春日部の弱い者イジメは、昼休み中、ずっと続いた。
放課後。
俺は春日部に言われた生徒指導室ではなく、鈴木と体育館裏に向かうことにした。
誰が好き好んで、あんな野郎の説教なんざ聞きに行くか。
春日部が教室を出たところで、皆一様にほっと、ため息をつく。
「千夜くん、大丈夫ですか?春日部先生との約束を守らないで…」
鈴木が心配そうに俺に訊いた。
俺は内心、ハッ!と春日部を馬鹿にして笑った。
「あんなの春日部が勝手に言っただけで、俺はひと言も『行く』とは言ってねーからな」
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