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「じゃあまたな。岸野」
失意で落ち込む佐橋を肩抱きした宮嶋と
佐橋のカバン持ちをした秋津と駅前で別れ、
俺は川瀬とバスに乗り込んだ。
さっきの迫力はどこへ行ったのか、
川瀬は寡黙でおとなしい川瀬に戻っていた。
「うちで飲み直すで大丈夫だった?」
「はい」
自宅での二次会は俺が提案した。
付き合う相手になった以上、
こいつがどんな奴かを知りたかった。
バスに揺られ、15分。
自宅のあるマンションの名前がついた
バス停で降り、再び川瀬に声をかけた。
「下のコンビニで、軽く何か買おうと思う。
川瀬、何が飲みたい?」
「炭酸ですね。岸野さんはお好きにどうぞ」
駅から離れているので
細々した買い物はコンビニで、
肉や魚、水や米、トイレットペーパーは
生協の個配を頼っていた。
「惣菜はいいかあ。さっき食べたしな。
おつまみ買うよ」
コンビニの売場でおつまみを数品手に取り、
カゴに入れる俺の後ろを川瀬がついて来る。
本当に付き合うんだよな‥‥
ちらっと川瀬に視線を投げ、咳払いした。
俺は役割的にネコで、奉仕が好きな方だ。
前の彼氏、というか初めての男は
シャワーを浴びずに汗臭いアレを
舐めさせるのが好きだった。
最初こそ抵抗があったが、まあいいかと
求められるがまま応じた。
さすがにこの川瀬には
そんな荒技を依頼されるとは思えないが、
あまりにも消極的なSEXなら
たぶんそんなに長い付き合いにはならない。
俺にとってSEXはかなり重要なポジション、
ずっと彼氏がいなかったとはいえ、
性欲が湧かなかった訳ではないのだ。
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