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不溶
夢のカケラを細かくしても
目の前のジンに溶けないことに
何となく苛立ちながら
そのジンと夢のカケラを飲み干した
混ざり合わない二つを苦く思いながら
少しの昔を懐かしんでいたら
新調したメガネが世界をゆがめていった
消化されたはずの夢のカケラが
さも残っているかのように右手を振ると
故郷にいた頃の記憶が俺の心を覆っていく
左の腕に描かれたトライバルの幻は
俺のアイデンティティだと
右手のグラスとの会話を試みた
まだカラになっていないグラスの中の
ジンの量と夢のカケラの量は大差なかった
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