無色

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無色

かすかに残る思い出は ほんのりとだけ色が残っていて 薄くなっていく記憶が 目前の出来事に溶けていく ほら、あそこで俺から離れていくモノが見えるだろう あれは俺に訪れる好機とか幸運と呼ばれるものだよ 次第に離れていく多くは 生活に縛られている俺には縁遠く失せていく その存在を信じるも信じずも消えることに変わりなく 残された思い出もそれにならって消えていく 昔作った作品を読み返し その時の状況が記憶から褪せていることを知る 薄まる色の情景の中、 溶けていく自分の分身の囁きを聞いていた
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