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寸暇
手持無沙汰になった午後
少し冷たい風を感じた時間に
宙ぶらりんの春が暖かさを揺らしていた
世間の風と季節の風が
同じ冷たさを孕んでいたので
俺の足のステップは鋭くなった
やるせない気分が
所在無さげの状況を覆っていく
東の空の明るさは全天に拡がっていた
通り過ぎる人々の声から
雨が降る話を拾い
風の匂いの変化を感じ取る
世間から急き立てられるように
午後の時間を無駄にする
そして生き恥を風に晒されて
手持無沙汰の時間を過ごしている
足の速度を少しあげてみよう
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