ペトラと道標

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 ***  ×月●日。  惑星・SG569-31RYには無事着陸成功!でもって、とりあえず最初の調査・交渉が終わったんでこの日記書いてます。……いや、今更デスマス口調にする意味もねえか、どうせ後で俺自身も確認することなんかなさそうだしよ。  惑星にはやっぱりというべきか、知的生命体が暮らしているのがわかった。  全身が水色の肌をしてて、俺たちよりちょっとばかしノッポ。身長2メートルくらいの連中がわさわさいるかんじだった。一応オスとメスはいるらしいが、どっちがどっちかの区別はつかない。瞳の色は金色。足の数が四本あったり、額にも目玉があったりするが、今まで出会った異星人の中では十分“人間っぽい見た目”に入ると思う。  そしてありがたいことに、全員が友好的であるようだった。  ただ接触は禁止してくれと言われた。彼等は惑星の外の最近やウイルスにまったく耐性がないらしい。万が一そういうものをうつされると、致命的なダメージを追うからやめてほしいとのことだ。  話が通じる上、ちゃんともてなして貰えたのはいいことではあるんだが……その細菌の問題があって、この惑星への地球人の移住は難色を示されている状況。俺たちも、あまり長い時間惑星に滞在するのはやめてほしいと言われちまった。  まあ、細菌とかの問題は、地球人にも言えることだしな。きちんと話を聞いて貰えただけ良いってことにしよう。幸いにも星の文明とか探査機での調査なんかは許可してくれるらしい。この惑星について三日間ほど調査させてもらったら、このまま引き上げて帰ることになると思われる。 「我々の言葉では、ここはトリスタン星と言います。本当は、困っている皆様をお助けしたいのですけれど、我々はけして丈夫ではないしよその惑星に出る術もないのです。どうか、そのあたりはご勘弁くださいまし」  この惑星の大統領みたいな人に、そう言われて頭を下げられちまった。その人は人間でいうところの女性らしく、名前はペトラという模様。声は正直、男みたいに低かったけどな。 「その代わり、三日間存分にこの惑星を調べていいですし、近隣の惑星について知っていることもお伝えさせていただきますので」 「それは、助かります」  その時だ。彼等と対談した建物の外を、数人の子供が歩いているのが見えた。彼等が何やら妙な歌を歌ってたんだよな。 「あるめにらんとす、とろとろてんて、からまーち、からまーち、かっらまーち!そろみるめると、へけせんせんて、らくだあだだだだだだ、あああああだだだだだだだ、りっこるてっとー」  翻訳機にも全く翻訳されない、完全に謎の言語。ただ、妙に耳に残るメロディと歌詞で、何故か一発で覚えちまった。  彼らの歌を聞いたペトラは渋い顔をして、俺たちにこう言ったんだ。 「あの歌は、この惑星のみちしるべのようなもの。絶対に家に帰れるように、この惑星に戻ってこられるように、大昔の……ここ、トリスタン星人が考え出したもののようで、何を言っているのか、どういう理屈なのかはわかりません。ただ、トリスタン星人以外は絶対歌わないようにとは言われております」  どうか、とペトラは頭を下げてこう言ったのだった。 「何を持って帰ってもいいですが、その歌だけは持って帰らないでくださいね。絶対に皆様は歌ってはなりません。何が起きても、保証はできませぬゆえ」
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