真緑の鉄塔

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翔太がいなくなると、沙夜子は畳の上に座り込んで、たった今彼のいた空間の匂いを嗅いだ。 翔太、翔太。 沙夜子は心がかき乱される。翔太の姿は沙夜子の女としての本能を強く握って揺さぶった。彼女は翔太が腰を下ろしていた座布団に右手を押し当てて、それを抱きしめて寝転んだ。 沙夜子は自分が翔太にどうしようもなく魅かれていくのを止めることが出来ない。最初に彼の顔を直に見た時の狼狽え、たじろぎ、それはそのまま沙夜子の中に激しい恋心を生じさせ、彼女を悩ませた。 同時に幼い男の子でありながら、あっさりと己の心を奪った翔太に、沙夜子はともすれば憎しみが湧く。 あんなことは私の人生にはなかった、私の方が先に相手の容姿に心を惑わされるなんて。翔太、彼は私のことをどう思ってるの。ゲームをくれた優しくて綺麗なお姉ちゃん、それだけ?いいえ、翔太も私にときめいているはずよ、私を一人の女として。それとも母親が薄情だからただの代わりに私を求めていて。 嫌よ、許せない、そんなの許せない。 何であんな子供にこんなこと思わなきゃならないの。 沙夜子は頭を振って畳を殴りつけた。 二人が成長し、大人の男女となって出会い魅かれあったなら、沙夜子と翔太の年齢差など全く問題にはならない。だが現在の沙夜子は中学二年で相手は小学三年の男の子。愛を確認するには若すぎて、それ故に沙夜子は身もだえる。翔太の無防備な雰囲気もそれに拍車をかけた。 あの子が欲しい、翔太を私のものに。 沙夜子は心中から翔太の笑顔を引きはがすなどとても出来ない。それはまるで、沙夜子に高級なる女の形質を与えた何かの意志が、それと匹敵するくらいの魅惑の美男を彼女の前に転がし、鼻息荒くしてその反応を楽しんでいるかのようであった。背後から二人の運命を操りながら。 早く一週間経ってよ、ああもう明日でも構わなかったのに。 沙夜子はかっかっと体を熱くして日々を過ごした。週末になり、沙夜子は起床して朝食を済ませると早足で公園へと歩く。そこには翔太がいて、沙夜姉ちゃん会いたかったと沙夜子に抱き着いた。沙夜子は恋心を抑えて翔太の背中をゆっくりと摩る。 家に入り居間でゲームをしようとすると、沙夜子は翔太が汗臭いのに気づいた。髪を触るとべたついている。 「ねえ翔太、ちゃんとお風呂入ってる?」 「俺ね、お風呂は三日に一回だよ、お母さんが水道代がかかるから毎日はダメだって。シャワーですぐに済ませるの」 沙夜子はげんなりした。アホな女ね、もう夏なのに風呂くらい好きなように浴びさせればいいのに、それか、もしかしてパチンコの為に節約でもしてるの。 「翔太、おいで」 沙夜子は翔太を浴室に引っ張る。 「さ、服脱いで」 翔太は言われるままに裸になる。翔太の服も汚れていた。沙夜子は服を洗濯機に放り、電源を入れる。 沙夜子はシャワーの栓をひねり、翔太の全身にお湯をかける。彼女は石鹸を手に取った。 「沙夜姉ちゃん、それくらい自分でやるよ」 「いいの、あなたはじっとしてて、私が洗うから」 沙夜子は翔太の裸体に欲情した。それは彼女の想像通りにほっそりとしていて、そのきめの細かい白い肌は、華奢でか弱い彼の肉体を逆に鮮明に装飾している。 沙夜子は後から念入りに翔太の体を洗いつつ、彼の首筋、背中にキスをする。次いで右腕、左腕にも。沙夜子は息が荒くなる。翔太は沙夜子の行為に頬を紅潮させて俯く。沙夜子の手は彼の胸からお腹、そして股間へと伸びた。彼女はそれとなく翔太の性器を触る。翔太はうっと呻いた。彼の小さな性器は硬くなっていく。沙夜子はその姿から片時も目が離れない。 愛してる、愛してる、翔太。 女の子と違い、まだ自分の容姿の意味など知らない。そして陰茎が立ち上がる性的な理由も不明な九歳の少年。 沙夜子は翔太の両足を揉みつつ石鹸を泡立てて、彼の肉体の感触を存分に堪能する。 最後に髪と顔を丁寧に洗って、沙夜子は翔太にバスタオルを差し出した。翔太は自身の股間を眺めつつ恥ずかしそうにタオルを受け取る。その仕草がまた沙夜子の愛欲を刺激した。
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