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お散歩。
※ここからは 赫 亜足 → KA などというように表します。
ー KA side
待ち合わせ場所に10分も早く着いてしまった。
足が不自由な僕でも、ずっと付き合ってきたからなのか
そんなに歩くのが下手なんてことはない。
ひたすら、ボケーっと同級生の登場を待っていると、
トテトテと覚束ない足取りで歩いてくる同級生の姿が。
「お、来た来た、」
気付くように手を大きめに振ると、
パッと顔を上げてこちらに走ってきた。
“お疲れ。大丈夫?”
覚えたての手話で話しかけてみると、
一瞬驚きの表情を浮かべ、それから、
うん、と一回、大きく頷いた。
そう、同級生とは桃李のこと。
今はお互い不登校だけど、
学校に通っている間はずっと同じクラスだった。
桃李は小柄で、女の子みたいな顔してて、とにかく可愛い。
手話をする手も小さくて可愛い。
そしてたまに、声で話してくれることもある。
まぁ、少し聞き取りづらいしあんま声を使うことはないけど。
“あたるくん、行こう?”
トントン、と肩を叩かれ、
クリクリの目で僕を見つめながらそう伝えてくる。
「あぁあぁ、ごめん、!行こうか!!」
僕の口の動きから言葉を読み取ると、
満面の笑みを浮かべながら、こくりと頷いた。
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