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ー KA side
「よし、桃李、帰ろうか。」
『.......?』
「え〜、、っと、」
“帰る” “どう?”
何とか手話を繋げて聞いてみる。
だが、伝わらないのか、ずっと首を傾げたままだ。
「かー、えー、ろー、う!!」
『.......??』
「......桃李、ホンマは分かってるやろ?笑」
『......くふふ、』
バレた?と言わんばかりの顔で無邪気に笑う。
「じゃあ、あと30分だけ........」
言い終えないうちに、奥から自転車が来た。
「あ、桃李!後ろ!!」
叫んではみたが、桃李は耳が聞こえない。
そのまま、自転車は桃李にぶつかってしまった。
[音くらい聞こえるだろ!!道の真ん中なんだから避けろよ!]
「ぁ、す、すいません、!!この子、耳、聞こえなくて、あの、」
チッ、と大きく舌打ちをして自転車の人はあっという間に通り過ぎていく。
『...............、』
「ご、ごめん、桃李、」
“ごめん”と手話で伝えてみる。
でも、聞こえなくても今言われたことが分かってしまったのか、
涙を堪えて、走って帰ってしまった。
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