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再会。
「........ぁ、斑人、」
『お、来た。よっ。』
待ち合わせ場所に着くと、
もう先に相手は来ていた。
碧井斑人。
保育園のときから知る幼馴染。
ただし、出身地は不明。
親を亡くして、話も何も聞けないから仕方ないそう。
「........げ、元気、してた、?」
『あぁ。橙矢は?』
「僕は、ま、まぁ、普通、かも、」
整った顔立ち。
いつ見ても好き。
思わず見とれてしまう。
『.......俺の顔に何か付いてる?』
「ぁ、ううん、!」
首を振って相手の反応を見ると、
そっか、と呟いて遠くを見つめた。
見晴らしの良い高台的なとこに上った僕らは、
しばし風に吹かれて無言でいた。
ふと、そういえば斑人の家族は今どうしてるだろうかと
顔を上げて聞いてみる。
『あぁ、あの保育園のときに出来た新しい家族の話?』
「そう、優しそうなご両親と、可愛い妹さん、居たでしょ?」
『.......居ったなぁ。けど、俺捨てられたんよ。金がなくなったとかで。』
「........え、?」
知らなかった。
お互い、不登校になったのが小学生の時で、
原因は明かさずに何となくここまで過ごしてきた。
今は斑人も僕も学校にも行かず、僕に至ってはバイトもせずに
亡くなった親の貯金を切り崩して生活している。
だから、そうなってたなんて全く知らなかった。
「そっか......、さ、寂しく、ないの、?」
『あぁ、寂しくないよ。』
『まぁ、何ていうか、こう、ごっそり欠落したような感じはあるけどな。』
それを寂しいって言うんじゃないの、という言葉は
敢えて飲み込むことにした。
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