6 − Ayame side

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6 − Ayame side

朝。 小鳥のさえずりで目を覚ます。 と言っても、目は開けられない。 目が見えない僕は、脳が覚醒したら手探りで布団から這い出る。 枕元においておいた携帯を手に取り、電話をかける。 相手は、隣に住む桃李くん。 朝が弱いからって、モーニングコールを頼まれてる。 もうここ数年、毎朝かけているから スマホの電話アプリのアイコンもキーパッドも 問題なく押せるけど、 最初の方は全く知らない人にかけたりして大変だった。 電話をかけて、数回コールが鳴り、電話に出る音が聞こえる。 そうしたら、僕は電話を切る。 桃李くんは耳が聞こえない。 だから、話しかけても意味がない。 じゃあ何で電話をかけるかって言ったら、 電話が鳴っている間の振動で起きれるから、らしい。 寝相の良い桃李くんは、お腹の上に携帯を乗せて寝る。 そして朝、僕が電話をかけて、お腹に伝わる振動で起きる、らしい。 メールでも良いんじゃないかって伝えたこともあるけど、 メールだと通知の振動が一瞬だから電話のほうが良いとかなんとかって 色々言われて結局こうなっている。 今日は珍しく、拙い日本語で 「いつもありがとう」 ってボイスメッセージが来た。 元気出るなぁ。 さ、今日は何して過ごそうかな。
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