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それから、私はたまに駅に行く。
そこにはピアノがあって、男性が待っている。
私が「この曲を歌いたい」というと、男性はそれを覚えてきてくれる。その後何回か練習して、そこでお披露目するのだ。
私は歌う。
彼のピアノに合わせて、堂々と歌う。
今じゃ誰かに見られることも怖くなくなって、好きなファッションや化粧をして歌うようになった。
私の好きなものが、私の呼吸を楽にしてくれる。私を健康にしてくれる。
私は呼吸をする。
相変わらず進路は見えないし、これからどうすればいいのかわからないけれど。
ゆったりと呼吸をすれば、ほんの少し、自分が何を望んでいるのか見えてくる。
私が、歌うのが好きな理由。
メロディーより、歌詞が好きな理由。
それはね。
女の人が『ぼく』と歌っていても、誰もそれを疑問に思わない。
それが自然だと思える。
そんな世界観が、あるからなんだ。
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