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子どもたちの後を追いながら、吸血鬼は朔のことを考える。
(――そして、君も、子どもなんだよ。朔)
理性的で、頭の回転が速く、大人びていて、とても中学生だとは思えない。
しかし、それでも、まぎれもなく子どもなのだ。大人の庇護下で、優しく、温かく見守られるべき、成長途中の存在。
家で厄介者扱いされている彼女は、子どものままではいられなかったのかもしれない。早く大人にならなければ、心がもたなかったのかもしれない。
けれど、もし、家族のほかに、親のように彼女を見守れる存在がいるのなら。
(あの子ももう少し、子どもらしくいられるのかもしれない……)
小学生の少女の後姿に朔を重ねながら、吸血鬼は小走りで近寄った。
そして――。
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