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20歳になって、俺は東京で一人暮らしを始めた。 マンションの一室。 ベランダに出てタバコを吸う。 朝の空気は新鮮で美味しいが、 やはりそれじゃ物足りず、もう一本火を付ける。 今日は中学の同級生が家に遊びに来るらしい。 片付けておかなくては。 テーブルの上を見ると、 コンビニで買った雑誌、昨日飲んだ酒の空き缶、 中身の無くなったライターとタバコの空き箱、 充電が30%しかない携帯、そして2つしか使ってないコンドームの箱。 これは先週SNSで募集した女とヤッた時のヤツ。 SNSにはそういう女がたくさん居るから、 1プレイ5000円で募集している。 普通は男が払う側なんだろうけど、 意外とこっちから募集かけても集まるもんだ。 そういえば先週の女可愛かったよな〜、とか思いながら 机の上を片付けていると、 無機質なチャイムの音が部屋に鳴り響いた。 「はーい、今行きます、」 玄関を開けると、何となく面影のある同級生がゾロゾロと部屋に入ってきた。 「北斗、全く変わんないね〜!」 だの、 「やっぱイケメンはいつまで経ってもイケメンだよな」 だの、各々思うことをわざわざ口にしながら適当に座り込む。 「あっれー!これ、ゴムじゃなぁい?北斗、彼女居るのぉ?」 独特の話し方をするコイツは確か、 安藤ともか、と言ったか、 ちょっとむっちりしてて色っぽい。 昔からこんなヤツで、何でも大きく声に出して言う。 「別に、女が居るわけじゃねぇよ。貸せ、」 「ちぇっ、つまんないのぉ、」 渋々、といった様子で箱をこちらに渡してくる。 「お前ちゃんと掃除してんのか〜?ここ、ホコリ溜まってんぞ?」 わざわざ床にへばりついてチェックしているコイツは、 高倉結都と言う。 一番俺が気に入ってたヤツで、そこそこイケメンだし 変に気を遣わないところも好き。 「結都〜、俺の代わりに掃除してぇ〜?」 「ばぁか、かわい子ぶっても俺には効かねぇよ〜!!笑」 こういうノリの良いとこも好きだ。 「北斗〜、お腹すいた〜。あ、てか缶ビールない??」 飯のことしか考えてないコイツは 浅田七海。 別に太ってるわけではない。 むしろ痩せている。そのくせ食いしん坊だ。 「何か、そこのスーパーで売ってた寿司ならある、ビールは〜、、」 「ビールは?」 「.......昨日全部飲んだっぽい、買ってくる.....、」 「はぁ〜??」 「あ!ならアタシも行く!!」 今元気よく手を上げたコイツは 有栖凪。 結構可愛くて、昔付き合ってたこともある。 無駄に乳がでかくて、ケツもでかい。 でも、俺の浮気が原因で別れた。 俺が唯一別れるのを惜しんだ女。 今はそこまでだけど。 「おう、じゃ、要るもんあったら連絡してくれ〜。」 有栖と家を出る。 近所のコンビニまでは徒歩5分だ。
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