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やばい、どうしよう。全然寝れない。
午前0時を回った深夜。俺はここ2時間ほどベッドの中で必死に眠ろうと努力していた。だがあまりにも衝撃的な1日過ぎて、寝ようにも寝れない。
寝ようとしても少し気を抜けば叶君やにしのの顔が思い浮かび、頭を抱えるというループをずっと繰り返していた。
怒りとか悲しみとかは無く、ただただ混乱している。
同性愛というものが身近にあった学園でも今までこんなことは無かったのに、なぜ実家に帰った途端に俺の人生がハードモードになるのか。大変不思議でならない。
…いや、今は本当にそんなことを考えている場合じゃない。なんとかして平常心を保たないと。じゃないと心労で死んでしまいそうだ。
―ピコン
そんなことを考えていると、ベッドの上に充電器で繋いでいたスマホから通知音がなった。音的に多分ラインの通知音だけど、こんな時間に誰が送ってきたのか。
気になってスマホに手を伸ばし、スマホを開くと『彩流公園で面白いものが見れそうだけど、来るか?』というメッセージが来ていた。誰からかなんて見なくても分かった。
彩流公園とはこの家の近くにある人気のない公園のことだ。そこであいつが面白いものが見える、と。100%碌なことではないのは目に見えているが、寝ようとしても寝れない今の俺にとってはいい暇つぶしになりそうなのも事実。
…思い至ったら即行動だ。俺はそいつとのやり取りをしている画面に『行く』という2文字だけ打ち込んで送信した。
そこからの行動は早かった。部屋着だったので一応他人に見せても恥ずかしくない服装に着替えると、俺は他の人を起こさないように慎重に家から出た。
そして夕方に車で走ってきた道を全力で走り、俺は町へ向かった。暫く走るといろいろな施設の建物や住宅地などが見えてきて、もう少しで彩流公園へたどり着きそうだと思っていると、前方に見覚えのある男が立っているのに気がついた。
「柊。」
俺を呼び出した張本人であるそいつに声を掛けると、柊はゆっくりとこちらを向いた。
「早かったな。」
「暇だったからね。」
短くそんな会話を交わすと、俺達は目的地に向かって歩き出した。
一体あそこで何が起こっているのか。気になりはしたがこいつに聞いたところで素直に答えてくれるとも思えない。なので俺は特に何も聞かなかった。
「……ようやく来たか。『族潰し』さん?」
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