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お買い物
私は、指名客が外から寿司の出前でも取ろうものなら、美味しい美味しいと言って嬉しそうに沢山食べるが、頃合いを見計らって席を立ち、トイレで全て嘔吐していた。
「そんなことないけど、あんま食わないな」
「私と一緒ですね」
「おまえはもう少し食えば」
「おうとつ、ないですからね」
「そういう意味じゃないけどな」
何気ない会話をしている。
店じゃない場所で、店の時間じゃない時間帯に。
マネージャーの家に向かうタクシーの中で、二人で、どうでもいい話をしている。
それがすごく楽しくて、嬉しくて、はしゃぎ出してしまいそうな気分だった。
マネージャーは「もう着くから、バック忘れるなよ」と私に言うと、スーツのポケットから財布を取り出す。
慌てて私も自分の財布を取り出そうとすると「いいから」と言われてしまう。
いいんだ、なんか、普通の男みたい。
マネージャーは、私に出させようとしないんだ。
半分こでもないんだ。
なんか、不思議。
でも、ちょっと不服。
それから、大きな道路を少し逸れて、小さな道を幾らか通って、マネージャーが運転手に細かく指示をする。
周りにはマンションばかりと言った感じの、とあるコンビニの前にタクシーは停まる。
マネージャーが料金を支払うと、二人でタクシーを降りて、目の前のコンビニに入った。
私もマネージャーも、食べ物は何も買わない。
とりあえず私は、起きたら飲む用のコーヒーと、化粧落とし用の小さなクレンジングオイルと洗顔のセット、それに生理用のショーツが売っていたので、まあ別にそれでいいか、と手に取る。
次に、ちょっとだけ迷ってから、お酒の売っているコーナーへと向かう。
そこにはマネージャーが居て、ビールを4本くらいと焼酎の瓶を一本、買い物カゴに入れていた。
それならついでに、と、私もビールを1本と酎ハイを何本か入れさせてもらう。
もちろん、自分の分は自分で払う。
後で返すから、レシートは捨てないで下さい、とちゃんと言う。
それから、気になっていたことを聞いてみる。
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