55人が本棚に入れています
本棚に追加
露出
「そうだ!中村さん、さっき買った服、ギリ私服でいけそうかどうか判断して下さいよ」
「ああ、あそこドレスしか売ってなかったろ」
「一応ロングじゃないやつがあったので、それ買ったんですけど」
「そういえば、うたは、なんでいつもロングばかり着てるんだ」
「あー、私、自分の脚の骨格の形が好きじゃなくて」
「何にもおかしくないけどな」
そうだろうか?
どうにも膝の骨だけが大きく不格好に見えてしまって、太ももとふくらはぎの中間を目立たせるそれが、変に脚の形を悪く見せているように感じるのだ。
私服では、同伴などがあるので、なるべく上品で清楚に見えるような雰囲気の膝丈のワンピースなどを選ぶが、どれも太ももまでは出ない物を選んでいる。
出来れば膝上丈の物は着たくないのだ。
つまり、私の脚は、自分から披露したいと思えるような形の整った綺麗な脚とは言えないと思っていた。
超コンプレックスだったので、避けていた。
自分の脚をわざわざ晒すと言うことを。
故に、どうせ店で着るのならば、と着用するものは足首まで隠れる長さのロングドレスを好んだ。
まあでも、とりあえず同伴では着なければならないのだから、と、アパレルショップの袋を引き寄せると立ち上がり、Tシャツを脱ぐ。
背中が大きく開いていて、背骨や肩甲骨などはもちろんそこを覆う皮膚の肌色がほとんどが丸見えになってしまい、ウェストカットと言うデザインで、脇腹の肌もチラリと覗いてしまうと言う、そんな仕様になっているドレスを引っ張り出す。
脚の方から、まだ筒状になっているその布地の中へと入り引き上げると、レースのパフスリーブになっている袖に腕を通し、手首を外に出した。
裾はピタリとしていてタイトな印象で、太ももの中間まで。
色は、私が好んで着る白いもので、これで背中と脇腹さえあいていなければ、ついでに裾がもう後5センチ長ければ、まあなんとか外を歩けるのだが。
そんなことを考えてもどうしようもない、そういう服を取り扱うショップで購入した物なのだし、これ以外はロングドレスや、前から見てもいかにもキャバドレスです、と言った雰囲気のものしかなかったわけで。
まあ、これもその系統ではあるが。
さて、中村さんの感想はどうだろう?
最初のコメントを投稿しよう!