平坦

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平坦

お風呂を借りて、体をゴシゴシと洗うと、頭のてっぺんからシャワーを一気に浴びて、全ての泡を洗い流す。 洗面所で新しいバスタオルを拝借すると髪と体を拭いて、化粧ポーチの中から幾つか必要な化粧品を選んで、眉を描いて、アイラインを引くと、黒いTシャツを着てパンツを履く。 洗濯をしようと思って、今日履いていた方のパンツと使ったバスタオルを持って洗面所のドアを開けると、中村さんもTシャツや靴下を洗濯機に入れているところだった。 そこに一緒に洗濯物を入れると、中村さんが私と入れ替わりで洗面所へと入って行く。 きっと、もう一つバスタオルを入れることになるだろうと思って、まだ洗濯機は回さないでおいた。 布団のある方の部屋へ行くと、スマホを一旦充電器から外して、深緑色のクッションに膝を抱えて座る。 私はこのキャバ嬢と言う仕事が好きだった、まだ、何も起きていなかったからだ。 まだ、なんとかなっていたからだ。 ー 中村さんがいたから、だ。
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