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待ち合わせ
キヨシくんは新聞屋さんだと言っていたし、ボトルを入れたこともないし、同伴しても店での時間をそんなに何度も延長したりしたこともない。
所謂細客と言うやつで、ハッキリ言って切ってもいいくらいなのだが、私はつれない態度を取ったり、連絡を無視したり、そう言ったことが出来なかった。
だって、彼はまるで私のことを「ただの19歳の女のコ」のように扱って、普通の同世代の子が話すような内容の話をし、普通の同世代の子とやるようなことを私に教えてくれるのだ。
「うたこちゃん、こっち!」
「あ、ごめん、少し遅かったかな?私」
「そんなことないよ、先輩も一緒なんだけどいい?」
「先輩、って仕事の?」
「ううん、高校は同じとこだけど、ずっと前から仲良くしてくれてたんだ」
私が改札を出ると、キヨシくんはもう既にそこにいて、私のことを待っていた。
片手には、夏ならばコンビニやスーパーでも売っている大きめな、色々な種類の花火の詰まった袋と、小さめのバケツを持っていた。
そして、キヨシくんの言う先輩とやらは、駅の改札の外に立っていて、煙草を吸いながら、こちらに向かって手をひらひらと振っていた。
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