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「……これ……私と母の……手紙。」
サンクスレターだった。
個人情報を伏せた状態で、移植を受けた人が健康を取り戻した喜びやドナーへの感謝の想いを込められた手紙だった。
「果穂ちゃんのお母様の手紙から元気になって大好きなピアノを弾いている事や果穂ちゃんの手紙にピアノの絵が書かれていたから大きな可能性を感じて嬉しくなったわ。
やっぱりこの手紙って…果穂ちゃんとお母様の手紙なのね!」
「じゃあ…私の中にある心臓は…やっぱり…美知歌ちゃんの…?」と果穂が呟いた瞬間、乙葉が涙を流しながら抱きしめてきた。
「果穂ちゃん…本当にありがとう……。
果穂ちゃんのお陰で…美知歌が…美知歌が果穂ちゃんの中で…生き続けてくれて…。」
「…何言ってるんですか…。
…お礼を言うなら……私じゃないですか…。
美知歌ちゃんのお陰で…余命宣告から……もう10年も生きているんですよ。
心臓移植後から何が起こるか分からない状態で…怖いって思いながら過ごしてたんです。
でも…提供してくれた方の為に…沢山生きてやるって思ってたんです。
美知歌ちゃんの心臓なら尚更…生きて生きて長生きしてやるんだからって!
美知歌ちゃん…乙葉さん…本当に…本当に…ありがとうございます!」
乙葉が果穂を抱きしめていた時に、果穂から鼓動を感じた。
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