不思議な物件

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不思議な物件

奥山 果穂(おくやまかほ)はピアニストを目指す音大2年生の20歳。 生まれつき病気がちで10歳の頃に余命宣告を言いわたされていたが大手術の結果、こうして今も生き続けている。 そんな彼女を心配している親と実兄の反対を押し切って、本人希望の一人暮らしをする事となった。 ピアノ練習ができる防音設備が整った部屋を…。 だが…部屋の内見に4歳上で若干シスコンの兄の司(つかさ)も付いてきて、部屋を伺う度に細かいチェックをしてしまい、その都度文句が増える。 「もうお兄ちゃん! 部屋に文句を言わないでくれる? いつまで経っても決められないじゃない!」 「何いってんだよ。 大事な妹の一人暮らしを心配して何が悪い? 何なら俺の部屋だって防音設備が整っているんだから…。」 「自分は恋人がいるのに何言っているのよ。 邪魔になりたくないのよ、馬鹿!」 「馬鹿とは何だよ! そもそも女の一人暮らしは危ねっつーの。 まあ、モテない果穂だからそれは大丈夫だろうけど。」 と兄の発言に果穂はカチンときた。 「残念ながら私にも気になる優しくてお世話になっているイケメンな先輩がいますけど。」 「ハア!!? うなもん聞いてねーぞ!」 「ハイ、話はおしまい! さあ!次でもう決めたいんだけど。」 …と思っていたが、不動産屋さんから果穂の希望した条件でもある音大からそんな離れてない賃貸は後一軒だったので向かった。
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