地獄への片道切符

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大きな船の停まった港に着くケンノエ達。 「「お元気でーー!!」」 「「いつでも帰って来てねーー!!」」 旅立つ人と見送っていく人。 それぞれが別れを惜しみながら叫び合う。 「ケンノエーーお手紙書いてねーー!!」 「勿論だよ!今までありがとうっ!」 ケンノエも家族に見送られながら船に乗っていく。 人々は小さくなっていくそれぞれを涙しながら送っていた。 (母さん、ユージン、タクミン。今までありがとう…) ケンノエは切なげに見ていた。 ケンノエの中に数々の思い出が走馬灯のように駆け巡っていく。 男ばかりの兄弟の為いずれも手がかかったがいずれもこうして成長した。 僕は持ち前の責任感で長男としての責任は果たしてきたつもりだ。 嫌な事もあったけど良い事も沢山あった。 努力した結果勉強もスポーツも出来たし難問の高校も卒業出来た。 しかし東京に行ってから全てが変わった。 美人局の被害に遭い財産を失い僕は統合失調症にかかってしまった。 家に帰った後僕は働けなくなり家族にお世話になりっぱなしだった。 その時に宣伝されたのがシャンティ大国の素晴らしさだった。 この宣伝は僕にとって渡りの船だ。 家族の負担になってしまうのも僕自身が辛いのでシャンティに行こうと決意したそしてそして僕は今ここにいる。 人々はぞろぞろと船の中に入っていく。 中には家族がいない人もいた。 人はそれぞれに思いを描く。 共通するのは向こうの国はアズキでは考えられなかったような、素晴らしい所に違いないと言う期待に胸を膨らませている事だ。
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