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そしてそして蛍の光と言う曲とともにアナウンスが聞こえてきた。
『まもなくまもなく、ユートピア港に着きます。忘れ物の無いように準備をしてお降りください』と。
「おや間もなく到着みたいだな?」
2日後の事だがケンノエはニコニコ親子とある程度交流した。
どこか共通するところがあったようだ。
ニコニコが苦手なものをケンノエが食べてあげたりニコニコが欲しがっているものをケンノエがあげたりしていた。
ニコニコはケンノエに懐いていた。
「ケンノエお兄ちゃんともうすぐお別れか寂しいよ寂しいよ」
ニコニコは泣き出す。
「船から降りてもケンノエお兄ちゃんにいつでも会えるわだからだから涙を拭いて」
ニコニコ母がそう言ってニコニコの涙を拭う。
「ありがとうケンノエ君ニコニコの遊び相手になってくれて」
「いえ僕もニコニコちゃんのおかげで良い船旅が出来たと言っても過言ではありません」
そしてそして港に出る人々。
その港の様子に人々は愕然とする。
外はパープル色の禍々しい空が広がり薄暗い。
そしてそして雲が黒くまるで煙のようである。
もっと驚いたのは陸の様子であった。
「な…なんだこれは…ここが本当に地上の楽園なのか…?」
人々の先程の笑顔が絶望に変わっていった。
人々が送り迎える事になっていたのだが人々は生気のかけらもなく死んだ魚の目のような目になっていてボロボロの服でいずれもが土気色の肌をしていた。
「なんだよこれ…話がまるで違うじゃないか…」
「だから私は反対だったのよ!」
ニコニコの両親が争い出した。
「これには訳があるはずですよ!」
現実を受け入れないままケンノエはこう言った。
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