自由のない世界

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ケンノエは闇市に向かった。 そこになんと浮浪者のような姿のニコニコがいた。 ニコニコもまた痩せ細っていた。 「ニコニコ!何でここに…」 ケンノエが話しかけるとニコニコはナイフを振るう。 ブシャ! ケンノエの腕から血飛沫が上がる。 「ニコニコちゃん…!何するんだっ!」 「ごめんなさい死んでください!」 ニコニコは正気を失っていた。 「ニコニコちゃん!」 ケンノエは正気を取り戻させる。 「ニコニコちゃん、両親とはどうしたんだい?」 「はぐれた…」 ニコニコは死んだ目で言った。 まるで他人事のような対応をしていた。 (可哀想に…シャンティ国にずっといてここの人の国民性に染まってしまったか…) 子供は特に住んでいる世界の価値観に染まりやすい。 まだ子供の場合は良いだろう。 大人はなかなかよその価値観についていけないので気が狂いそうなくらいのストレスになる。 「さっき君の両親に会ったんだ」 「知ってる、だから食糧を盗んできた」 ニコニコが言った。 「駄目じゃ無いか物を盗んじゃ!」 ケンノエは叱る。 「そうしないと生きていけないもの!仕方ないじゃん!」 ニコニコは叫んだ。 (何でこんな子供がここまで追い詰められるんだ…何もかもが狂ってる!) ケンノエは激しい怒りを覚えた。 「それよりお父さんとお母さんは?」 「そうだったねこっちだよ」 ケンノエはニコニコを両親のいた場所に連れて行く。
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