シャンティからの脱出

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そこでケンノエが言った。 「アズキ国に戻る船は出ていますか?」と。 しかししかし友郎は首を横に振り 「残念ながら帰る事は出来ません。ここに来たら最後永遠に出られないようにされてるのです」と答えた。 「そんな…これじゃまるで刑務所じゃないか!」 ケンノエは怒りを覚え拳を強く握る。 「アズキの政府は厄介払いがしたかっただけなんです。生活保護、無職のもの、働き口が無い者がいなくなればアズキ国にも都合が良いですからね」 「くそっ!アズキに着いたら爆弾でも投げつけたい気分だ!」 ケンノエは地団駄を踏む。 「それはいけません。貴方はとても真面目な青年だ」 「わかっています。本当にはやりません。しかししかし悔しくてたまらないんです。楽園の嘘に騙されたのが悔しくて…」 とケンノエ。 ニコニコはケンノエ達の話には関心を持たずただ自分の着ている洋服の煌びやかさに喜びに浸っていた。 (せめてこの子だけでもアズキに送り届けてあげたい!) ケンノエはニコニコを見てそう固く誓った。
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