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そしてそして、アズキから渡ってきた人は政府やメディアが厄介者と評したような人間ばかりでは無い。
人生にもがき、頑張り、アズキに貢献してきた人だって沢山いるのだ。
ニコニコの両親もそうだっただろう。
僕もそうだ。
渡って来た人誰もが嘘の言葉を信じ、真っ当に生きてきた罪のない人も渡って来た。
政府も、メディアも、楽園事業の嘘を流し込んで必死にもがいて半生に生きた人を地獄に叩き落としたのだ。
その罪は重い。
ここに来て何人もの移住者が地獄に突き落とされて亡くなった。
僕はここを出てシャンティの惨状を世界中にばら撒いてやる。
「何とかここまでは来れました。しかししかし油断してはいけません。兵士の警備も大変厳しいものになっています」
友郎がこう言う。
「お兄ちゃん怖いよ…」
「大丈夫僕がついているから」
ケンノエは震えるニコニコを抱いた。
友郎の言う通り何人もの銃を持った兵士が辺りを巡回していた。
そんな時そんな時「誰だ!」と兵士が銃を向けた。
友郎達がいる事がバレたようだ。
「まずい!逃げるのです!」
友郎は走りだす。ケンノエ達も友郎について行った。
(このままでは全員が捕まってしまう!)
そう思ったケンノエは立ち止まり自ら囮になる。
「ケンノエさんっ!何のつもりです!?」
と友郎。
「僕は囮になります!友郎さんはニコニコちゃんを連れて脱出してください!」
「死ぬおつもりですか!?」
友郎は叫ぶ。
「僕がこうしていなければ貴方がたも捕まります!ですからですから!ニコニコだけでも連れて帰ってくださいっ!」
ケンノエは言った。
銃が発砲される。
弾丸がケンノエを貫いた。
ダラダラと血が頭から流れ出る。
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