ケンノエとチイチイ父

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そしてそしてケンノエは家族達に見送られる。 「ケンノエ風邪ひくんじゃないよ」 「元気に暮らせると良いな」 「お土産送ってくれよな」 上からセツカ、ユージー、タクミン。 「母さん、ユージー、タクミン。僕は必ず自分の幸せを見つけ、今まで迷惑かけた分一生懸命恩返しするよ!」 とケンノエは瞳に涙を溜めて言った。 ケンノエにとって2度目の旅路である。 一度は看護師になろうと上京したものの徳島より遥かにストレスが多く、都会特有のものなのか人々の冷たさに振り回され過酷な看護師の労働に耐えられなくなって徳島に戻ってきてしまったケンノエ。 それから数年後、楽園と大々的に報道されているシャンティ帝国を夢見て、精神的に病んで弟達に突き放され母親に面倒見てもらっていた。 自分自身が負担になっている事を思い責任感の強いケンノエはいち早く自立しようとシャンティ帝国に向かう。 そしてそしてケンノエとその家族は互いが見えなくなるまで手を一生懸命振り合った。 ーーー 一方チイチイ父達の反対派部隊はバイクを駆りて襲撃を試みる。 「ヒャッハー腕が鳴るぜ!」 「ミツオ遊びじゃないで罪のない人を傷つけたらあかんで」 調子に乗るミツオをチイチイ父が言う。 「何言ってんです旦那。クリーンな戦いじゃ今回の戦いは止められませんよ!」 「そうやな」 ミツオの言う事ももっともだと思うチイチイ父。 「見えて来ましたよ!」 そう言うは(まさる)素潜り漁師を生業にしているが彼もユートピア事業に疑念を抱いていたのでチイチイ父に志願した。
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