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一向に対処の気配を見せない大将に、通報を進言しようと顔を上げた時だった。
「……成世、お願いできる?」
「えっ?!」
手元の串から目を離さずに、大将がつぶやいたのだ。一瞬何のことかと、フリーズする。
「話の内容から察するに、警察案件じゃない感じだし。お前なら大丈夫だと思う」
「えぇっ?」
大将は何を言っているのだろう。さっきまで渦巻いていた、大和に関するモヤモヤを振り払い、必死に脳内の情報をかき集める。まさか……?
「大将、それって……」
「こんな形であれだけど、ミッション」
「……マジかよ」
任務外の時間は完全にスイッチを切っている成世なので、この場に自分が適任だということは頭になかった。ということは、上司?大将が?マジで?混乱する脳内を必死に鎮静させるため、成世は深呼吸した。
「でも、大和が……」
知られてはいけない。極秘任務なのだから。未だ視線を合わせてくれない大将は、ゆっくりと口角を上げた。
「大丈夫。あいつも『そう』だから」
「えっ……」
絶句。そう?……あいつもって?
「そういうこと。あいつ戻ってきたら、俺から言っとくから」
「え、えっ、あっ、ハイッ」
「ゴーね?」
「分かりましたっ」
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