第4章

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大将の正体を知ってしまったので、口調が部下っぽくなってしまった。立ち上がり、店を出る。すぐに言い争う外国人が目に入った。成世の耳に馴染みのある言語だ。内容をザッと把握し、微笑みながら声をかける。第一接触は極力フレンドリーに。よほど攻撃的な態度でなければ、秒殺で返り討ちにされることはない。 「……おふたりさん、良い夜を」 軽く肩をすくめて解散する外国人たちをとびきりの笑顔で見送ると、成世は店の引き戸に手をかけ、ホッと息をついた。なんとか収めることができた。お互いの妥協案を提示し、このまま争いがエスカレートした場合の弊害を説明して諭す、通常の手法で任務完了することができた。 店内に入るとまず、心配そうな表情の大和が目に入る。大将はなんて説明したのだろうか。相変わらず忙しく串をひっくり返しながら、額の汗を拭いている。さっきまでざわついていた客は、そんなことなどなかったかのようにジョッキを煽っていて、すっかり元通りだ。成世は覚悟を決め、大和のそばに戻った。 「……ただいま」 「あ、おかえりなさい」 微妙な空気が流れる。成世の台詞に適した返事をした大和だったが、この場をどう扱っていいのか戸惑っているようだ。
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