第4章

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「な?お前が適任だったろ?」 手元から顔を上げた大将が、モヤっとした空気を吹き飛ばすみたいに、成世に微笑んだ。 「えっと……これで大丈夫でしたかね」 「上等上等。ほら、そしたら何て言うの?」 「……え、あっ……MC!ですよね?」 「よくできました。お疲れさん」 そんな上司と部下のやり取りを、大和は口を開かずに見守っていた。大将が再び串に集中すると、勢い付けのためなのか、大和は一気にグラスを干した。 「……びっくりしたよ」 大和の第一声は、予想通りだった。というか、それ以外にないだろう。 「俺も。それから、ちょっと怖くもあるよ」 「怖い?」 「だって、こんな都合良く組織の同僚が自然につるんでるなんてさ。絶対何か仕組まれてると思わない?」 「……それもそうだな」 それは成世が、夏帆と知り合った頃から感じていたことだった。きっとメンバーは、予め決められていて、必然的に関わらされている。なんて自然な出会い方なのだろう。もしどこか1つでも、すれ違いが生じていたら、今はないのだ。たとえアクアバスの開発担当者の退職が仕組まれていたとしても、成世が別の整備工場を見つけていたら。いや、それならば別のルートで出会うよう仕向けられるのか。
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