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「さすがというか、うん。やっぱり怖いな」
「国家権力を感じるよなぁ」
そんな2人の会話を耳にしてか、大将がクスッと笑った。この人が国家の秘密組織の人間だなんて、誰が考えるだろうか。
「あ、ちなみに俺は上司じゃないからね?」
「え、じゃあ俺らに指示出してたのは?」
「それは俺。でも、上司じゃなくてリーダーってとこかな。立場は同列よ?」
「でも……もう大将って呼べないですね」
敬語になった大和に、彼も同じことを考えていたのだと、成世は安堵した。カウンターの成世と大和にだけ聞こえる声量で、大将改めリーダーは告げる。
「宇都宮です。改めてよろしく。ここでは今まで通り大将でいいよ」
「こちらこそよろしくお願いします。ご存じだと思いますが、環境省所属の三ヶ島 成世です。同列ってことは、えー……大将も所属があるんですか?」
「ハハッ。所属?そりゃあるよ。いちばんヤバいとこ」
「あーやっぱり?」
公安か。そんな気はしていた。用意周到、裏から操ってくるこの感じ、表の人じゃない。
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