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「平子んとこ、どんな客層よ?」
「いろいろ。車のなんでも屋さんって看板出してるからさ」
「へぇ、じゃあ、うちみたいな、いかにも金持ちって客ばかりじゃないんだな」
「そりゃあね。いろいろで面白いよ。明日の案件なんて、水族館だからな」
「へえ。ここら辺だと、名洋水族館?」
「そうそう。移動式水族館の車両整備なんだって。面白いだろ?」
「面白そうだな。いいなぁ。毎日毎日同じような外車ばっか弄ってんの、飽きてきたもんな」
元同僚は、心底羨ましそうな声でボヤいた。仕方がない。ルーティンワークというものは、ある程度ベテランになってくると飽きも来る。その引き換えに、安定が供給されているのだが。
「そういえば名洋水族館と言えばさ、あの子居るとこじゃない?ほら、インステで有名な」
「インステ?」
「そうそう、ミカちゃんだっけ?可愛すぎるトレーナーって言われてる子」
「トレーナーって、イルカショーとかアシカショーとかの?」
「そうそう」
「俺インステやんないから知らんし」
「マジで?おじいちゃんかよ。30んなったばっかだろ」
「何とでも言ってろ」
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