第5章

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***** アバターに着せる洋服やアクセサリーは、課金次第でどうにでもなる。ハイブランドのものは、権利関係のせいなのかこの世界での取り扱いがないけれど、流行り物からコンサバまで、大抵のものは揃っている。仮想空間でのデートでは、普段の自分とはかけ離れたコーディネートを楽しむことにしている夏帆だったが、今日はハイキングの予定だったので、比較的自分らしい装いになった。 『お待たせ』 『そんなに待ってないよ』 『行こうか』 チャット機能で会話をする。リアルボイスでの通話も可能なのだが、2人とも極力バーチャルで居たいタイプなので、デート中は指が忙しい。 『最近インしてなかったけどどうしてたの?』 『また海外行ってて忙しかった』 バーチャル彼氏のゼブラとは、オンラインゲームで出会った。夏帆がハマっていたゲームで、よく助けてくれたのをきっかけに、今の関係に発展したのだ。めちゃくちゃ上手くてかっこよかったんだよね、と友人の成世に惚気たことはある。今でも一緒にプレイすることはあるのだが、海外任務中はログインしないことにしている。極秘の国家任務なので、ネット上でも余計な隙は見せたくない。
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