第5章

11/14
前へ
/98ページ
次へ
成世の動物好きについては、深いところまでは知らないのだが、一般に言うペットにできる愛玩動物に限らないようだ。仕事にしている海洋生物もそうだし、鳥類、爬虫類、昆虫にも詳しい。そういえば、動物好きとは成世本人の口からは聞いていない。生き物が好きだって言ってたな。 「ま、水族館のヤツらで満足しとくよ、当面は」 「大きくてモフりがいがあるでしょ」 「あんまモフモフじゃないけどな」 生き物と常に触れ合える職業に就き、好きな海を舞台に活動する成世もまた、満ち足りた日々を過ごせているのだろうと夏帆は思う。そう伝えると、100点満点ではないよと返ってきた。 「……恋愛?」 「まぁ、ね。何でわかるの?」 「こないだ言ってたじゃん。恋かどうかわからないとかなんとか」 「あ、そうか」 1ヶ月前ぐらいだったか、成世に初めて自分の恋愛観を語った日のことだった。あの時、自分がよくわからないと成世は言っていた。
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加