第5章

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「で、結局あれは恋だったの?」 「恋……だと思う」 「よかったじゃん、気づけて。じゃあもうグイグイ行っちゃってるとか?」 「いや、全然。ハードル高すぎて」 「ハードルって!成世、性格もルックスも言うことないんだから自信持って行っちゃえば?」 「ありがと。でも、そういうわけにも行かないんだよねぇ」 成世は口ごもった。どんな高嶺の花なのだろう。水族館の可愛いすぎるトレーナーとして、知名度のある成世のことだから、華やかな芸能人などと出会いがあってもおかしくはないけれど。 「……夏帆が自分のこと話してくれたのに、俺が黙ってるのはフェアじゃないから、言っちゃおうかな」 「フェアって。そんなの私は気にしないけど」 「いや、違うな。俺が聞いてもらいたい、かな」 「成世のしたいように」 なんだろう。自分にも関係のある相手なのだろうか。気持ちがざわつく。 「うん。やっぱ聞いてくれる?」 「いいよ」 決心したような様子の成世は、画面の向こうで深呼吸した。 「えーと、ハードルその1。……相手は男です」 「……なるほど」 「でも俺、これまで付き合ってきたのは女の子ばっかりなんだよ」 「ナチュラルゲイじゃないってこと?」 「うん。言い訳がましい?」 「別に言い訳なんかしなくていいじゃん。彼が好きです、現在、以上!でしょ」 「夏帆らしいなぁ」 苦笑する成世。私らしいも何も、誰を好きになろうとそれは個人の自由だ。好きになってはいけない人などいない。
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