7人が本棚に入れています
本棚に追加
「組織内恋愛禁止とかルールあるのかな」
「知らない。そもそもどんな組織かも知らないってのに」
「本当にね。成世、今度私もその上司に会わせてよ」
「えっ、あ、いいけど」
「もちろん、組織内恋愛について他言はしないわ。どんな感じの人なのか、話してみたいだけ」
「わかった。でも、大将は上司じゃなくチームリーダーだって言ってた」
「リーダー?並列関係なの?なら尚更話してみたいわね」
淡々とメンバーに任務を振ってくるそのリーダーとやらに、夏帆は会ってみたくなった。どんな人物なのか、全く知らない。夏帆に任務の指令が来るときは、アプリに打ち込む文章でのみコミュニケーションを取っている。簡潔な文で指令を出し、質問すると即、的確で簡潔な答えが返ってくる。各省庁所属のメンバーを適材適所に配置し、任務を割り振る。それならばその人は、オールマイティな人間のはずだ。
「じゃ、今度飲みに行こう」
「早い方がいいな」
「でも、土曜だけなんだよな、大将居るの」
「シフト変わってもらうわ」
「あの……あいつも誘った方がいい?」
あいつ、成世が好きな彼のことだ。どうしようかな。あっちもこっちもはじめまして、だと気疲れしそうだな。成世が。
「成世が構わないなら、最初は2人で行こう。1人ずつ攻略したいわ」
「攻略って」
「大丈夫。私は成世の味方よ」
「ふ。味方かぁ。聞いてくれてありがと」
成世との通話を終えると、夏帆は早速バイト先のシフト交代の交渉に取り掛かった。
最初のコメントを投稿しよう!