第6章

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デカい仕事か。陣営を作る夏帆とメカ担当の自分がハード面だとすると、ネゴシエーションに携わる成世の仕事がソフトにあたるメインってことか。つまりはインターナショナルなトラブルに立ち向かわなければならないってことだ。 「俺、英会話習いに行こうかな」 思わず大和がつぶやくと、宇都宮が吹き出した。 「大和、わざわざ習わなくても大丈夫。現地で適当にしゃべってみれば、意外といけるもんだから。ちょっと行ってみたら?」 「え、ちょっとって……ハードル高いっすよ」 「最初から1人じゃアレか。じゃあさ」 その時、間違いなく宇都宮はニヤリと口角を上げた。 「成世、夏休み取って大和と波乗りにでも行ってくれば?」 「えっ」 「任務外でさ、有給もらって行けばいいんじゃない?」 「大将、名案!」 目を見開いた成世と、手を叩く夏帆を交互に見ながら、大和は狼狽えていた。たしかに、いつか成世を海に誘いたいとは思っていたけれど。おそるおそる成世の表情の変化を窺った。 「……成世、行く?」 「行く!行きたい!あっ、休み取れたら、の話だけど」 二つ返事の成世に、大和の頬が緩んだ。成世と海に行ける。組織の人間である宇都宮の提案ということは、成世にまとまった夏季休暇が与えられるのは確定事項だ。自分の方は何とかなる。やっぱり自営業で良かった。
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