第6章

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掘り起こしたかった記憶はここまでだったかな。大和は少しマシになってきた拍動の触れるこめかみを揉み、重要なことを思い出した。 「……そういえば」 帰り際、夏帆がとんでもないことを大将に訊いたのだ。 「そうだリーダー、チーム内恋愛ってアリですか?」 一気に記憶が蘇ってくる。その瞬間、表情筋が上手く動かせなかったことも大和は思い出した。動揺する部下を他所に、宇都宮の答えは、実にサラッとしたものだった。 「禁止しても仕方がなくないかな?そもそも恋愛なんて、したくなくても勝手に落ちるもんでしょ?」 「そっかぁ、そうですよね!」 夏帆の発言の意図はわからない。彼女が誰かと恋愛したいと感じたのか。やっぱり成世のことを? 「今さら悩んでも仕方がないか」 思わずつぶやいた大和は、自分の中でひとつの答えが出たことを認めた。宇都宮の言うとおり、勝手に落ちていたのだ。成世が好きだ。もう間違いない。
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