第6章

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***** 機内の窓から見た海は、楽園の青。日本のそれとは全くちがう。大和がサーフィンをしていたのは、学生時代だ。あの頃は経済的余裕もなくて、近場の海ばかりだった。こんな映像でしか見たことのないような美しいところで波に乗れるなんて、夢みたいだ。 しかも、大和の隣には、短パンに椰子の木のシルエット柄のシャツを羽織った成世が座っている。普段と全く異なる装いに、最初は驚いたけれど、SDGsのタグのついた投稿での成世は、そもそもこんな雰囲気だった。シャツの風合いも、おろしたてのものではなく、しっかり着込んで洗濯を繰り返した感があって、着慣れている。現地の人の輪に自然に馴染むだろう。それに、とてもよく似合っている。大和は素直にそれを口にした。 「見慣れない格好だけど、よく似合ってんな」 「ありがと。これ、気に入ってんだ。いかにもなアロハってほどでもないけど、南国風でしょ?」 「さりげなくて良いな。成世、荷物もずいぶんコンパクトだったし、やっぱ海外慣れてんのな」 「趣味でライフワークだからね」
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