歌って、マイステディ!

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 しかし、興味があることは大好きで、今では二次創作小説をネットにアップしているくらいには凝り性である。そもそも理数系とはいえ、とても頭のいい大学を出ているのも事実だ。果たしてどんな答えをくれるのか。 「ほい」  暇だったというのは本当らしい。  彼はなんと、その日の夜にはレポートを書き上げて私に提出してくれたのである。その内容を要約すると。 『ポケモンのプリンのうたう、は相手を睡眠効果にする作用がある。ところがゲームのデータを確認してみると、この“うたう”という攻撃は初代赤緑バージョンから最新のSVバージョンまで命中率などが変わっていないのである。命中率は55%でPPは15回というところまで全て統一されている。つまり、うたう、攻撃は半分程度の確率で成功しない=相手を眠らせることができないはずなのだ。恐らくアニメでこれがほぼ必中技になってしまっていたのは、雑音が少ない環境で至近距離で聞いた者がほとんどだったから、ではないだろうか』 ――ふんふん。 『よって、ある程度距離を取った上で歌を聞きつつ、かつヘッドホンなどで防音対策をした人間が、眠りそうになっているポケモンや人間達に絶えず“ねむけざまし(眠りに陥った相手を起こすアイテム)”を使い続けるのがベストではなかろうか。あるいは、オーディエンスを全て特性・ぼうおん(音系の技を全て無効化する特性)を持つポケモンで揃えるしかないと思われる。が、一番肝心なのは、そこまで手間暇をかけるほど、プリンの歌を最後まで聞く必要があるのか、彼女の熱意はそこまでなのかという事であり……』 「ぷっ!」  最後まで読んで、私は噴き出してしまった。  ポケモンの技のゲーム上のデータを引っ張ってきて論証する、あたりがもう完全に理数系の彼らしい。  確かに、ゲームの上では“うたう”の命中率はけして高いものではないし、今ではぼうおん特性を持つポケモンもいる。なるほど、こうして考えると対策が打てないわけではないようだ。  あとは、どこまでプリンの気持ちに寄り添えるか、寄り添うべきかということなのだろう。 ――このお題に、子供達はどう答えを出すのかしら。楽しみだわ。  私も考えてみることにしようと思う。  誰もが本当の自分を歌い続けるために、みんながお互いのために何ができるのか。  見つけられる答えはきっと、人それぞれ違うはずである。
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