歌って、マイステディ!

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「読書感想文もそうよね。作文書くのが好きな子でも、読書感想文となると随分文章が重たくなるというか、嫌な顔をする子は増える気がするから」 「だろ?最近はネットに小説投稿したり、ブログ書いてる子も多い。TwitterみたいなSNSだって文章っちゃ文章じゃん。文章そのものに触れる機会がある子は多いんだよ。それなのに作文は書けないっていうのは……興味がないから文が出てこないとか、面白いと思ってないのに嘘を書かされるとか、そういう理由じゃないかと思うんだよなあ」 「一理あるわね……」  ならば、子供達が好きなことなら作文も書きやすいだろうか。  私はちらり、とテレビの方を見る。テレビ台の下には、私が大量に買い込んだゲームソフトの数々が保管されていた。子供のころからゲームやアニメが大好きだった私。大人になった今では、時に同人誌の即売イベントに足を運ぶこともあるほどの立派なオタクになってしまった。――夫にはバレてるが、子供達にはさすがに私がエロいBL同人誌を買ってることはナイショである。  子供達が好きなもので、私もそれを理解できるもの。さすがに、子供達がいくら好きでも、私があまりにも知識がないジャンルでは話が通じないし、採点も難しいはずである。ならば。 「……物凄い突拍子ないこと言ってもいい?」  テレビの横に置かれているのは、ピンク色のキャラクターのぬいぐるみだ。風船のような丸い形に、ちょこんとした三角形の耳。大きな二つの青い目、小さな手足がついているそれ。  ゲーム・ポケットモンスターに登場するキャラクター、プリンだ。 「……ポケモンに関する話とか、作文のお題にしてもいいと思う?」 「お、いいじゃんいいじゃん!」  私の言葉に、夫は目をキラキラ輝かせて言った。ちなみに、美容師をしている彼と出会ったのも、実は同人即売会。お互い、ポケモンと遊戯王とドラえもんが大好きなオタク同士である。  ちなみに私は今年で三十八歳、夫は三十七歳。どちらも、ポケットモンスター初代のゲームソフト、赤・緑が発売されたころ遊びまくった世代だった。 「俺も、ポケモンに関する話だったらじゃんじゃん作文書けると思うなー!ポケモンすげえよな、俺らが子供だった頃から、今の子供たちまで大人気だし!カード持ってる子も多いと思うんだよね!」 「それなら、普段は作文が嫌いな子も書いてくれるかしら?」
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