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もう当たり前となったムーンショット。
3年前には目標と称されていたものが、2年前には計画へと変更され、
そして去年は国会で可決され、それは実行された。
これは人が自由に精神の世界を行き来できると言うとんでもない技術だった。
簡単に言えば、契約が個々間で成立すれば、人格の入れ替えが可能となるのだ。
もちろん制約はある。
この契約はビジネス間のみ許されるというものだ。
またプライバシーを尊重するために、個々間でしかその契約が交わされた事は分からない。
つまり、人格を交換する者同士しか、この入れ替わりは知らされないものとするのだが、一方で個々と言っても、トラブルを避けるため、互いが使用されるのは一時的なID、つまり偽名でやり取りされるため、一体相手が誰なのかは分からないようになっている。
このムーンショットは私達の知らない間に密かに準備されていた。
3年前にはある注射がワクチンとして一斉に国民全員に行き渡るように打たれた。海外に居る者は大使館や外交官に召集され、打ち漏らしがないように打たれた。
そして2年前、突然ワクチンではなく最新の人口チップを打ち込んだ事を発表した。国民から一斉の反感を国は買ったが、安全性と利便性を説明され、国民は納得するほかなかった。
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