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僕たちが前菜を食べ始めるとギタリストが現れ“アルハンブラの思い出”、“愛のロマンス(禁じられた遊び)”をロマンティックに奏でた。タパス風の前菜が大いにマッチした。
メインが運ばれると同時にバイオリニストが登場した。彼女は“愛の悲しみ”、“愛の挨拶”、“愛の喜び”という誰もが一度は聞いたことのある名曲を情感たっぷりにでも控えめに演奏した。白身魚のポワレにかかっているこってりしているけどくどくないソースにぴったりだった。
誰もが美味しい料理とそれを一段と引き立てるような演奏に柔和な笑みを浮かべ心から幸せそうだ。もちろん僕たちもそうだった。
メインまで終わったところでフロアマネージャーが壇上に上がりマイクを握った。
「皆様、本日は当店へお越しいただき誠にありがとうございます。お楽しみいただいておりますでしょうか...」
来店へのお礼と次に登場するパフォーマーの紹介だった。
Mr.✕というラスベガスのマジック大会で優勝したこともあるマジシャンらしい。Mr.✕の出し物はお客さんの参加が必要ゆえ、指名されたら快く協力してほしいというリクエストも兼ねていた。
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