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流行りの異世界転生で生の推しに出会う
「おいおいおいおい。ふざけんなよこら」
穏やかではない声が響く。声の主は魔物と対峙していた。
その禍々しい姿は大きなトカゲとでもいうべきか。二足歩行のトカゲなんかいるかよっと内心ツッコミつつ、それの足元に組み敷かれている青年に目をやる。
青年は今にもやられそうで、それを助けるために動いた先程の声の主は、落ちていた剣を拾い構えた後、冒頭のセリフを言った。
その顔は緊迫するこの状況を楽しむものでも、反対に嘆くものでもない。
ただただ、青筋を立て“怒り”を露わにしていた。
そして、叫ぶ。
「選択肢が出ないんだけどっっっ!!」
***
普通に今まで生きてきて、普通に好きなゲームをして、毎晩毎晩バーチャルの世界にダイブしていた日常。
それが気づけば、全く知らない風景が目の前に広がっている。
ここはどこだ?え、なにあの格好。と周りをみれば自分とは異なる服に身を包む人々。しかし、なんか見たことあると目を凝らし、そして気づく。
あ!ここ推してるゲームの世界じゃないか、と。
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