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「いいか、信じろ。私をだ」
その言葉に、泣きそうになりながらもイグニスは頷き魔物と対峙した。
ジリジリと近づく。魔物が飛びかかってきた。
「イグニス!突き刺せ!!」
「っ、うおおおおお!」
ズシャァァァァという音と共に魔物の悲鳴が轟く。イグニスは指示通りに動いたのだ。
そう、まるでプレイヤーに操られてるかのように。
「これならイケそうだな」
「オレが、魔物を……」
「おまえが倒したの。やればできんじゃん」
イグニスは首を振った。そして、震える声で言う。
「なんで……」
なんでオレを助けるんだ?そう問う勇者に笑いかける。
「推しだから」
そう言うとイグニスが目を見開いた。その目に光が戻るのを感じると、立ち上がって言った。
「……わかった、やってみるよ」
***
それからというもの、イグニスは魔物を倒せるようになった。いや、正確に言えばこちらの指示で動けているわけだが。
周辺の魔物を倒したので、一度街に戻ることにした。なんなら、この後の展開知ってるし。街の奴ら手のひら返しで祝福してくれるからな。アイテムと金を貰う大事なイベントだ。
ニヤニヤしていたら、イグニスに不審がられた。
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