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「イグニス!やはり勇者だ!」
「おかげで助かった!ありがとう!」
イグニスは苦しい表情を浮かべるが、それでも微笑む。そりゃ困惑するよな、反応違いすぎて。でもこれが正規ルート。
勇者イグニスが辿るべき道。
「なあ!あんたもよくやってくれたな!名前なんてんだ!」
イグニスと共に人々に取り囲まれる。名前、名前かー。なんかかっこいいのがいいよな。どうせ異世界転生してんだし?
そう考えていたら、耳元で名前はと何回も聞かれて煩わしくなり、咄嗟に叫んでいた。
「うるせぇな!ゲーマーだよ、ゲーマー!ガチの廃人プレイヤーだっつの!」
言った後にやっちまったと思ったが、時既に遅し。「ゲーマー!」と歓声が上がる。
なんだそのふざけた呼び名と思ったが、イグニスがクスリと笑った。初めてみる、穏やかな笑み。
「変わった、名前だね。ゲーマー」
「もう一回」
「え?」
「もう一回リアルボイスで頼む」
「ええ……?」
困惑したイグニスに頼み込み、その後数回は名前を呼んでもらった。
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