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「ん?どうしたの?」
今日も今日とて魔物を狩った帰り道。イグニスに声をかける。そして、問いかけるのだ。ゲームプレイヤーとしてではなく、たった一人の人間として。
「おまえはなんで勇者って役目に決まってたんだ?」
勇者に選ばれた理由なんて一つしかないだろうけど、それでも聞いておきたかった。だって推しだから!
「……オレが産まれた時、両親が言ったらしいよ。この子は絶対、将来大きなことを成し遂げるだろうって」
ゲームのシナリオ通り!と興奮するが、イグニスは浮かない顔をする。なんだ?おセンチか?メンタルってるボーイか?
「勇者っていゃー、人々を救うやつの称号だもんな。背負うねえ、イグニス」
暗い雰囲気を払拭させるように茶化してみると、イグニスは笑った。
「そうだね……だから、オレは勇者にならないといけないんだ」
勇者になるのが本望でないことはわかる。責任と期待を背負うことへの重圧が、そうさせる。こう考えるとゲーム内で生きてたら無理やりの役を演じさせられるのかー、嫌だなと思えて同情する。
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