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『黄昏の時を超えて』これが推しのゲーム。つまり今目の前の世界のタイトルだ。ありがちな勇者が魔王を倒して世界に平和を的な物語。しかしやり込み要素満載で、アイテムコンプ、スチルコンプ、なんならモンスター図鑑制覇も当たり前なほどやり尽くしたゲーム。
何周プレイしたか定かではないが、廃人レベルでやり尽くしていたのは確かだ。
このゲームなら、攻略把握してるし、なんなら生身の推しを拝めるのでは!?とワックワクして街中にくりだせば、全然推しの姿が見えない。
「あの子はまたあそこか」
「選ばれた役目を果たさないなんてねぇ」
街のNPCの会話を聞く。知らない会話だ!そりゃそうか、だってこのゲームの主人公を動かしてないもんなと納得した。
姿を消す推しにニヤニヤが止まらない。場所なんて把握済み。逃さないよおなど、よもや悪役なセリフを心で唱えて、目的の場所へいく。
街の外れの小高い丘の上。一本の木があるそこ。
そこに、推しはいた。
オレンジに近いキャラメル色の髪。ああ、すぐにわかる。神々しい。
「あのー、握手してもらってもいいですか?」
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