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「んなわけで、推しのおまえの勇士を生で拝めるなんて最高なエンターテイメントなのね。だから、さっさと行け旅に」
「オレは……勇者なんかじゃ、ない」
「お?どうしたいきなり」
「オレだって、好きで勇者になったんじゃない……っ!」
突然イグニスが感情を剥き出しにして叫んだ。おお?と首を傾げて言葉を待てば、泣き出しながら続けた。
「オレは、優柔不断だし、物も決められないし、世界を救う役目なんて!そんな責任負えないよ!!」
ああ、そうか。この性格だもの。そりゃ嫌になるわなぁ。推しの泣き顔を拝めるなんてと感動しながら、イグニスに言う。
「じゃあこのまま、世界滅亡ルート?そんなんマジのバグじゃん笑えねー」
嘲笑したら、イグニスは何も返さず、駆け出して行ってしまった。
「は?逃げたぞ、ガチか」
勇者逃亡は新しいなと思いつつ、まあ行き先なんてわかるのでチンタラとイグニスが向かったところに歩く。
案の定イグニスは自宅にいた。そりゃ何かあったらここに逃げ込めばいいよなと思い窓の外から様子を見ると、街中が騒がしくなる。
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